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クラウドゲーミングって本当に快適?光回線でストリーミングゲームを試してみよう

「クラウドゲーミングって話題だけど、本当にちゃんと遊べるの?」「高性能なゲーミングPCがなくても、最新ゲームができるって本当?」「光回線があれば、どのクラウドゲームサービスが一番おすすめ?」最近注目のクラウドゲーミングについて、こんな疑問を持ったことはありませんか?

我が家でも息子が「友達がスマホでPCゲームやってるって言ってたけど、どういうこと?」と聞いてきました。「クラウドゲーミング」という言葉は知っていましたが、実際どの程度快適に遊べるのか疑問でした。「遅延でゲームにならないんじゃない?」と思いつつも、試しに使ってみることに。

結果、光回線の環境なら想像以上に快適で、高性能ゲーミングPCがなくても最新ゲームを楽しめることが判明しました。ただし、サービス選びや設定にはいくつかのコツが必要でした。この記事では、光回線でクラウドゲーミングを快適に楽しむための方法と、主要な各サービスの特徴をご紹介します。さあ、新しいゲーム体験を始めてみませんか?

クラウドゲーミングの基本知識

まず「クラウドゲーミングって何?」という基本的な疑問から解決していきましょう。

クラウドゲーミングの仕組み

クラウドゲーミングの基本的な仕組みは、ゲームが手元のデバイスではなく、インターネットの向こう側にある強力なサーバーで動く点にあります。まるで、遠隔地のスーパーコンピューターを借りてゲームを動かすようなイメージですね。そのサーバーで処理されたゲームの画面が、映像としてリアルタイムに手元のデバイスにストリーミング(配信)されます。YouTubeの動画を見るように、ゲームの映像が流れてくる、と考えると分かりやすいでしょう。

一方で、私たちのコントローラーやキーボードからの操作は、瞬時にインターネットを通じてサーバーに送られます。そして、サーバーはその操作を受け取り、ゲームの動きに反映させ、再び映像として私たちに返してくれます。この一連のやり取りが、まるで手元のゲーム機で遊んでいるかのようにスムーズに行われるのが、クラウドゲーミングの仕組みです。

従来のゲームとの最も大きな違いは、高価なゲーミングPCや最新のゲーム機が不要な点です。インターネットに繋がる普通のパソコン、スマートフォン、タブレットがあれば、すぐに始められます。ゲームを始めるために、何十ギガバイトものデータをダウンロードしたり、インストールしたりする手間もありません。クリック一つで、すぐにゲームの世界に飛び込めます。ゲームのアップデートも、サーバー側で自動的に行われるため、プレイヤーが手を煩わせることは一切ありません。さらに、ゲームデータは全てクラウド上にあるため、手元のデバイスのストレージ容量を圧迫する心配もいりません。

クラウドゲーミングのメリット

クラウドゲーミングには、従来のゲーミング環境にはない多くのメリットがあります。

まずハードウェア面で言えば、高価なゲーミングPCや最新ゲーム機がなくても、最新のゲームを気軽に楽しめるのが最大の魅力です。数十万円もする高性能PCを購入する予算がない方でも、手のひらのスマートフォンで大作ゲームを遊べますし、古いパソコンを買い替える必要もありません。ゲーム機本体の購入費用や、PCの定期的なメンテナンスやアップグレードの手間からも解放されるのは、ゲーム初心者にとっても嬉しいポイントですよね。

利便性も特筆すべき点です。ゲームのダウンロードやインストールに何時間も待つ必要はありません。サービスに登録すれば、瞬時にゲームを開始できます。また、セーブデータはクラウド上で同期されるため、家ではPCで、外出先ではスマホで、とデバイスを変えても続きからプレイ可能です。どこにいても同じゲーム環境で遊べ、ストレージ容量の心配もいりません。まるでゲームが「どこでもドア」でどこにでもついてきてくれるような感覚です。

快適に利用するための条件

クラウドゲーミングを快適に楽しむためには、高速で安定したインターネット回線が必須です。具体的には、最低でも25Mbps以上の速度があれば一応プレイできますが、カクつきなく滑らかな映像で楽しむなら50Mbps以上、最高の体験を求めるなら100Mbps以上の速度を確保することをおすすめします。私の体感では、やはり100Mbpsを超えると別格の安定感がありますね。

速度だけでなく、回線の「安定性」も非常に重要です。速度が一時的に低下したり、途切れたりすると、ゲーム画面が止まったり、操作が効かなくなったりしてしまいます。また、操作に対する「低遅延」も欠かせません。私たちが操作した情報がどれだけ早くサーバーに届き、その結果が画面に反映されるか、という応答性がゲーム体験を左右します。特にアクション性の高いゲームでは、この遅延が命取りになることもあります。さらに、操作情報を送るための「上り速度」も地味ながら重要ですし、ゲームは多くのデータを消費するため、パケット制限のない「定額制」の回線を選ぶことも大切です。

主要クラウドゲーミングサービス比較

ここからは、現在注目されている主要なクラウドゲーミングサービスについて、それぞれの特徴を詳しく比較していきましょう。ご自身のプレイスタイルや、遊びたいゲームに合わせて選ぶのがポイントです。

GeForce NOW(NVIDIA)

NVIDIAが提供する「GeForce NOW」は、既に持っているSteamやEpic Gamesなどのゲームライブラリを活用できる点が大きな魅力です。月額1,980円のプレミアムプランでは、1080p/60fpsでの高画質プレイが可能で、PC、Mac、スマートフォン、タブレットなど、幅広いデバイスに対応しています。無料プランもありますが、プレイ時間に制限があったり、順番待ちが発生したりすることもあるため、本格的に楽しむならプレミアムプランがおすすめです。

光回線との相性も非常に良好で、NVIDIA独自の最適化技術により、25Mbpsからでも利用できますが、やはり50Mbps以上で安定した環境が理想的です。特にNVIDIAのRTX技術による高画質レイトレーシングに対応しているため、対応ゲームであれば驚くほど美しいグラフィックで楽しめます。ゲーマー向けに低遅延設計が施されているのも嬉しい点です。

GeForce NOWのメリットは、何と言っても既存のSteamライブラリをそのまま使えること。これまでPCゲームを購入してきた方にはうってつけです。NVIDIA RTX技術による高画質も大きな魅力で、比較的低遅延で快適にプレイできます。さらに、まずは無料プランで気軽に試せるのも嬉しいポイントです。

一方でデメリットもあります。対応ゲームが限定的であること、無料プランでは順番待ちが発生する可能性があること、そして海外サーバーを利用しているため、時間帯によっては多少の遅延が増加するケースがある点には注意が必要です。

Xbox Cloud Gaming(Microsoft)

Microsoftが提供する「Xbox Cloud Gaming」は、月額1,100円の「Xbox Game Pass Ultimate」に含まれる形で利用できます。Xbox Game Passの豊富なゲームライブラリが遊び放題になるため、コストパフォーマンスは非常に高いと言えるでしょう。最大画質は1080p/60fpsで、PC、スマートフォン、タブレット、そしてXbox本体でも楽しめます。

光回線との相性も良好で、Microsoft独自の最適化技術により20Mbpsから利用可能です。特に、世界的に展開するクラウドインフラ「Azure」を活用しているため、サービス品質は非常に安定しています。国内にサーバーがあることも、低遅延を実現する上で大きな要因となっています。

Xbox Cloud Gamingのメリットは、Game Passに含まれることで非常にコストパフォーマンスが良い点です。Microsoftファーストパーティのゲームが豊富に用意されており、安定したサービス品質で楽しめます。国内サーバーのおかげで遅延も少なく、快適なプレイが可能です。

しかしデメリットとして、Xbox系のゲームが中心であること、現時点では4K解像度に対応していないこと、そしてマウス・キーボード対応ゲームが限定的である点が挙げられます。

PlayStation Now(Sony)

Sonyが提供する「PlayStation Now」は、月額1,180円でPlayStation 4および一部PlayStation 5のタイトルが楽しめるサービスです。最大画質は1080p/60fpsで、PS4、PS5、そしてPCでも利用できます。

光回線との相性も良好で、25Mbpsから利用可能です。PlayStation独自の技術で最適化されており、Sony自社サーバーによる安定したサービス品質が特徴です。遅延対策も施されており、PSゲームのストリーミングに特化しています。

PlayStation Nowのメリットは、やはりPlayStation独占タイトルが豊富に用意されている点です。PSコントローラーとの相性も抜群で、まるで本体で遊んでいるかのような感覚で楽しめます。サービス品質も安定しています。

一方でデメリットは、PlayStation系ゲームが中心であること、4K対応がまだないこと、そしてPCでの利用は少し限定的である点が挙げられます。

Amazon Luna

Amazonが提供する「Amazon Luna」は、月額600円からのチャンネル制で、プレイしたいゲームジャンルに応じて料金を調整できるのが特徴です。最大で4K/60fpsの高画質に対応しており、PC、Mac、スマートフォン、そしてFire TVデバイスで楽しめます。

光回線との相性は非常に優秀で、Amazonの強力なクラウドインフラ「AWS」を基盤としているため、世界最大級の安定性を誇ります。35Mbpsで4K対応が謳われており、専用プロトコルによる低遅延も実現しています。

Amazon Lunaのメリットは、なんと言っても4K対応による高画質と、AWSの安定したインフラです。チャンネル制なので、遊びたいゲームに合わせて柔軟に料金を調整できるのもユニークな点です。

ただしデメリットとして、現時点では日本での本格展開が未定であること、ゲームラインナップが他のサービスと比較して限定的であること、そしてサービス全体が英語中心であることが挙げられます。将来性には期待できますが、現時点では選択肢の一つとして検討する形になるでしょう。

光回線環境でのクラウドゲーミング最適化

せっかくの光回線も、設定が最適化されていないと本来の性能を発揮できません。ここからは、クラウドゲーミングをさらに快適にするための具体的な設定方法をご紹介します。

ネットワーク設定の最適化

クラウドゲーミングにおいて、最も重要で手軽にできる最適化がネットワーク設定です。

まず、メインでゲームをプレイするデバイスは、最優先で有線LAN接続にしましょう。 Wi-Fiは便利ですが、電波干渉や不安定さから遅延が発生しやすくなります。LANケーブルはカテゴリ6(CAT6)以上のものを選ぶと、より安定した高速通信が期待できます。有線接続は、ネットワークの遅延を最小限に抑え、安定したゲーム体験をもたらしてくれます。私も息子に「オンラインゲームで勝つにはLANケーブルが一番大事だぞ!」と口を酸っぱくして言っています。

次に、ルーターのQoS(Quality of Service)設定を活用しましょう。 これは、特定の通信を優先的に処理する機能です。ルーターの設定画面で、ゲーミングデバイスの通信を最高優先に設定したり、ゲーム用の帯域を確保したりすることで、他の家族が動画を視聴していてもゲーム通信が妨げられるのを防げます。例えば、ゲーム用に帯域の50%を優先的に割り当て、残りを他の通信に使う、といった設定が可能です。これにより、ゲーム中の遅延を最小限に抑えることができます。

さらに、IPv6 IPoE接続を利用するのも非常に有効です。 従来のIPv4 PPPoE方式は、プロバイダの設備が混雑しやすく、夕方や夜間など利用者が多い時間帯に速度が低下する「速度遅延」が起こりやすい傾向にありました。一方でIPv6 IPoEは、混雑しにくい新しい接続方式であり、効率的なルーティングで低遅延かつ高速な通信を実現してくれます。まるで一般道からスイスイ進める高速道路に乗り換えるようなイメージで、クラウドゲーミングの安定性が格段に向上します。お使いの光回線がIPv6 IPoEに対応しているか、ぜひ確認してみてください。

Wi-Fi環境の最適化

もし有線接続が難しい場合は、Wi-Fi環境を最適化する工夫が必要です。

Wi-Fi 6(11ax)対応のルーターを活用しましょう。 Wi-Fi 6は、従来の規格に比べて低遅延と高速通信を実現する最新のWi-Fi規格です。OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)という技術により、複数のデバイスが同時に通信しても効率的にデータを処理できるため、家族が同時にインターネットを使っていても安定した通信を保ちやすくなります。これにより、1Gbpsを超える高速通信も夢ではありません。

また、5GHz帯のWi-Fiをゲーム専用に利用することをおすすめします。 一般的なWi-Fiルーターは2.4GHzと5GHzの2つの周波数帯を提供していますが、2.4GHz帯は家電製品の電波干渉を受けやすく、速度も不安定になりがちです。一方、5GHz帯は障害物に弱いという特性はありますが、電波干渉を受けにくく、高速で安定した通信が可能です。ゲームに使うデバイスは5GHz帯に接続し、スマートフォンや他の家電は2.4GHz帯に接続するなど、使い分けることで電波の干渉を避け、ゲーム通信の安定性を高めることができます。さらに、ルーターの設定画面で、近隣のWi-Fiと重ならない「空いているチャンネル」を選択することも、通信の安定化に役立ちます。

デバイス別クラウドゲーミング体験

クラウドゲーミングは様々なデバイスで楽しめますが、それぞれのデバイスに合った最適な利用方法を知っておくと、より快適な体験ができます。

スマートフォン・タブレット

スマートフォンやタブレットのメリットは、何と言ってもその手軽さです。いつでもどこでも気軽にゲームが楽しめるのは、通勤途中やちょっとした待ち時間にも最適です。Bluetooth接続対応のゲームコントローラーを用意すれば、本格的な操作感でゲームを楽しめますし、最近のスマートフォンのディスプレイは高解像度で非常に美しいため、外出先でも迫力ある映像でゲームに没入できます。携帯性に優れているため、家から外出先へ、場所を問わずゲームを継続できるのも大きな魅力です。

最適化のポイントとしては、やはりゲームコントローラーの用意が必須です。XboxやPlayStationの純正コントローラーをBluetoothで接続したり、スマートフォン用の専用コントローラーを使ったりすることで、タッチ操作では難しい複雑なゲームも快適に遊べます。より大きな画面で楽しみたい場合は、テレビへの画面ミラーリング機能も活用してみましょう。データ使用量には注意が必要で、Wi-Fi環境でのプレイを優先し、パケット制限がある場合は注意しましょう。長時間プレイする場合は、バッテリーの消耗が激しいため、充電しながらのプレイをおすすめします。

推奨設定としては、デバイスの性能や通信状況に応じて画質やフレームレート(30fps/60fps)を調整するのが賢明です。多くのサービスには「低遅延モード」が用意されているので、これを有効にすることで操作の反応を良くできます。また、ゲームプレイ中は、通知が集中力を妨げたり、回線の一部を使ってしまったりすることがあるため、無効化しておくと良いでしょう。

PC・Mac

PCやMacのメリットは、大画面で没入感のあるゲーム体験が可能な点です。マウスとキーボードでの精密な操作はもちろん、コントローラーも自由に選択できるため、幅広いジャンルのゲームに対応できます。高解像度・高フレームレートでのプレイにも対応しており、複数のウィンドウを開いて他の作業と並行して楽しむマルチタスクにも向いています。

最適化のポイントとしては、多くのクラウドゲーミングサービスがGoogle Chromeでの利用を推奨しているため、まずはChromeブラウザを試してみるのがおすすめです。不要なブラウザ拡張機能は無効化し、ゲームプレイ中はバックグラウンドで動いている他のアプリケーションを最小化することで、PCのリソースをゲームに集中させ、安定したパフォーマンスを得られます。また、ネットワーク状況が不安定な場合は、ゲームの解像度を少し下げることで、映像の途切れやカクつきを抑えることができます。

ゲーム機(PlayStation、Xbox)

PlayStationやXboxといったゲーム機のメリットは、何よりも純正コントローラーでの最適化された操作感です。テレビの大画面で迫力あるゲーム体験ができ、サラウンドシステムに対応していれば、より臨場感あふれる音響でゲームの世界に没入できます。リビングでの家族共有プレイにも最適で、皆で同じ画面を見ながら盛り上がれるでしょう。

設定のコツとしては、やはり最優先で有線LAN接続にすることです。これにより、最も安定した低遅延な通信が確保できます。画質設定は、接続しているテレビの解像度に最適化することで、最高のビジュアルでゲームを楽しめます。サウンド設定では、遅延のないオーディオ出力に調整し、もし可能であればコントローラーも有線接続にすることで、入力遅延を最小限に抑えることができます。

ゲームジャンル別の適性

クラウドゲーミングは非常に便利なサービスですが、ゲームジャンルによっては向き不向きがあります。ここでは、どのジャンルがクラウドゲーミングに最適なのかを分析してみましょう。

高適性ジャンル

RPGやアドベンチャーゲームは、クラウドゲーミングとの相性が非常に良いジャンルです。これらのゲームは、比較的ゆったりとしたペースで進行し、操作頻度もそこまで高くありません。また、瞬時の反応が求められる場面が少ないため、多少の遅延があってもゲームプレイに大きな影響を与えにくいのが特徴です。例えば『Cyberpunk 2077』や『Witcher 3』のような大作RPGは、クラウドゲーミングで気軽にその美しい世界観とストーリーに没入できます。

シミュレーションゲームも同様に高適性です。プレイヤーは思考する時間が十分にあり、厳密な操作精度や瞬時の反応速度はあまり求められません。『Civilization』シリーズや『Cities: Skylines』のような都市開発シミュレーションなどは、クラウドゲーミングでじっくり腰を据えて楽しむのにぴったりです。

中程度適性ジャンル

アクションゲームは、ある程度の遅延許容度がありますが、操作頻度が多く、反応速度もそれなりに重要になってくるため、中程度の適性を持つジャンルと言えます。『Assassin's Creed』シリーズや『Grand Theft Auto V』のようなゲームは、ネットワーク環境が良好であれば十分に楽しめますが、少しでも回線が不安定だと、回避や攻撃のタイミングがずれるといった影響が出る可能性があります。

レースゲームも中程度の適性です。ハンドル操作やアクセル・ブレーキのタイミングなど、やや精密な操作と素早い反応が求められます。『Forza Horizon』や『Gran Turismo』のようなゲームは、グラフィックの美しさが魅力ですが、僅かな遅延がタイムに影響することもあります。

低適性ジャンル

FPSやTPSのような競技性の高いシューティングゲームは、クラウドゲーミングにはあまり向いていません。これらのゲームでは、一瞬の判断と精密なエイム(照準合わせ)が勝敗を分けるため、わずか数ミリ秒の遅延すら致命的になりかねません。『Valorant』や『CS:GO』といったタイトルを本気でプレイするなら、クラウドゲーミングではなく、高性能なゲーミングPCと安定した専用回線を用意する方が賢明です。

格闘ゲームも同様に、クラウドゲーミングとの相性は極めて低いと言えます。格闘ゲームでは「フレーム単位」という非常に短い時間の操作精度が求められ、コンボを決めるには完璧な反応速度が不可欠です。『Street Fighter』や『Tekken』のようなゲームで対戦を楽しむなら、遅延の少ないオフライン環境か、極めて安定した有線ネットワーク環境が必須となります。クラウドゲーミングでは、操作のズレが勝敗に直結してしまい、フラストレーションが溜まりやすいでしょう。

トラブルシューティング

クラウドゲーミングをプレイしていて、「なんだか動きがカクカクする」「操作がワンテンポ遅れる」といったトラブルに遭遇することもあるかもしれません。そんな時に役立つ対処法をご紹介します。

遅延・ラグの対処

症状と原因: 操作してから画面に反映されるまでの「操作遅延」、映像が一時的に止まる「画面フリーズ」、映像と音声がずれる「音ズレ」などが主な症状です。これらは、インターネット回線の速度不足や不安定さ、あるいはルーターやデバイスの一時的な不具合が原因であることがほとんどです。

対処方法:

まずはネットワーク環境の確認から始めましょう。

  • 速度テストを実施する: 利用しているクラウドゲーミングサービスが推奨する速度が出ているか、まずは確認してみてください。
  • 他の機器の通信を一時停止する: 家族が同時に動画視聴や大容量ファイルのダウンロードをしていると、回線が混雑してゲームに影響が出ることがあります。一時的に他の機器の通信を止めて、改善されるか試してみましょう。
  • 有線LAN接続へ変更する: 可能であれば、Wi-Fiではなく有線LANで接続してみてください。Wi-Fiの電波干渉や不安定さが原因で遅延が発生している可能性が高いです。

次に設定の調整を試みます。

  • 画質を下げる: 1080pでプレイしているなら720pに下げるなど、ゲームの画質設定を下げることで、通信量を減らし、安定性を向上させることができます。
  • フレームレートを下げる: 60fpsから30fpsに下げることも、同様に通信量を削減し、回線への負荷を軽減する効果があります。
  • 低遅延モードの有効化: 多くのクラウドゲーミングサービスには「低遅延モード」や「パフォーマンス優先モード」のような設定が用意されています。これを有効にすることで、映像の滑らかさより操作への反応速度を優先するようになります。

最後に環境の改善を試みましょう。

  • ルーターの再起動: 長時間稼働しているルーターは、一時的に不具合を起こすことがあります。一度電源を抜いて数分待ち、再起動することで改善されるケースは多いです。
  • デバイスの再起動: パソコンやスマートフォンなど、ゲームをプレイしているデバイス自体も再起動してみましょう。一時的なメモリ不足やプロセスの競合が解消されることがあります。
  • バックグラウンドアプリの終了: ゲーム中に他のアプリが裏で動いていると、ネットワーク帯域やCPUリソースを消費してしまいます。不要なアプリは全て終了させてからゲームを起動しましょう。

画質・音質の問題

映像が荒い、音声が途切れるといった問題も、適切な対処で改善することが可能です。

画質改善方法:

  • 帯域確保: 他の通信を制限することで、ゲームに使える帯域を確保し、より高画質で安定した映像ストリーミングが可能になります。
  • 解像度調整: デバイスの画面サイズや性能、そして現在のネットワーク状況に応じて、ゲーム内の解像度設定を最適化しましょう。必ずしも最高の解像度でなくとも、回線が安定している方が快適な場合もあります。
  • HDR設定: お使いのディスプレイやサービスがHDR(ハイダイナミックレンジ)に対応している場合、設定を有効にすることでより鮮やかでリアルな映像を楽しめます。ただし、HDRはより多くの帯域を消費するため、回線状況によってはオフにした方が安定することもあります。

音質改善方法:

  • 音声設定: ゲーム内の音声設定で、ステレオやサラウンドなどの設定を確認し、最適なものを選びましょう。
  • 遅延対策: ワイヤレスヘッドホンやスピーカーは、有線に比べてわずかに遅延が発生することがあります。特に音ズレが気になる場合は、有線接続のヘッドホンを試してみるのがおすすめです。
  • 音量バランス: ゲーム内やデバイスの音量ミキサーで、ゲーム音とボイスチャットの音量バランスを調整し、聞き取りやすい環境を作りましょう。

コスト分析と導入判断

クラウドゲーミングの最大の魅力の一つは、コストパフォーマンスの高さです。ここで、従来のゲーミング環境と比較して、どれくらいの費用がかかるのかを具体的に見ていきましょう。

従来環境との比較

従来のゲーミング環境で、最新ゲームを快適に楽しもうとすると、初期投資がかなり高額になる傾向があります。

従来のゲーミング環境

  • 初期投資
    • ゲーミングPC: 20万円-50万円
    • ゲーム購入: 年間5万円-10万円(発売時にまとめて購入した場合)
    • 周辺機器: 5万円-10万円
    • 総額: 30万円-70万円
  • 年間コスト
    • 電気代: 2万円-5万円
    • アップグレード: 5万円-10万円(数年おき)
    • ゲーム購入: 5万円-10万円
    • 年間: 12万円-25万円

一方で、クラウドゲーミング環境の初期投資は格段に抑えられます。

クラウドゲーミング環境

  • 初期投資
    • コントローラー: 5,000円-15,000円
    • 光回線工事: 0円-40,000円(キャンペーンで実質無料になることも)
    • 総額: 5,000円-55,000円
  • 年間コスト
    • サービス料金: 1万円-2万円
    • 光回線料金: 6万円-8万円
    • 電気代: 微増
    • 年間: 7万円-10万円

この比較を見ると、クラウドゲーミングが経済的にいかに魅力的かがよく分かりますね。

投資対効果の判断

では、どのような場合にクラウドゲーミングを選ぶのが賢明なのでしょうか。

クラウドゲーミングが特に有利なのは、まず「ゲーミングPC購入の予算が限られている」方です。高額な初期投資なしに最新ゲームを気軽に始めたいというニーズにぴったり合致します。また、「最新ゲームを少しずつ、幅広く楽しみたい」方にもおすすめです。サブスクリプションモデルなので、気になるタイトルを気軽に試すことができます。PCやゲーム機の「メンテナンスの手間を避けたい」方、そして「スマートフォンやタブレット、リビングのテレビなど、複数のデバイスでゲームを楽しみたい」方にも、クラウドゲーミングは最高の選択肢となるでしょう。

一方で、従来のゲーミング環境が有利なケースもあります。例えば、「競技レベルでFPSや格闘ゲームをプレイする」方。わずかな遅延も許されない環境では、クラウドゲーミングではストレスを感じるかもしれません。また、「MODを導入したり、ゲームファイルを深くカスタマイズしたりしたい」という方にとっても、自由度の低いクラウドゲーミングは不向きです。自宅の「通信環境が不安定」な場合も、クラウドゲーミングは本来の性能を発揮できません。そして、「長時間連続でゲームをプレイすることが多い」方も、ストリーミングサービスの安定性やデータ通信量を考慮すると、専用ハードの方が適している可能性があります。

まとめ:光回線でクラウドゲーミングを始めよう

ここまで、クラウドゲーミングの仕組みから主要サービス、最適化の方法、そしてコスト分析まで、幅広くご紹介してきました。最後に、光回線でクラウドゲーミングを始めるための重要なポイントをまとめてみましょう。

光回線の要件は?

  • 安定した通信速度が最も重要です。最低でも25Mbps以上、可能であれば50Mbps以上、理想的には100Mbps以上の速度を確保してください。
  • 速度だけでなく、速度の変動が少ない「安定性」と、操作の反応に直結する「低遅延」が非常に重要です。IPv6 IPoE対応の光回線を選ぶと、より快適な環境が手に入りやすいでしょう。

サービス選択の基準は?

  • 自分がプレイしたいゲームがそのサービスで提供されているか、まず確認しましょう。
  • 求める画質やフレームレートなど、性能レベルが自分の期待に合っているかどうかも重要です。
  • 月額料金やチャンネル制など、料金体系が予算に適合しているか確認しましょう。
  • 普段使っているPC、スマホ、タブレット、ゲーム機など、利用したいデバイスに対応しているかも確認が必要です。

最適化のポイントは?

  • 可能であれば、ゲームデバイスは必ず有線LANで接続しましょう。Wi-Fiよりも安定性が格段に向上します。
  • ルーターのQoS設定を活用し、ゲームの通信を最優先にすることで、家族が同時にインターネットを使ってもゲームが途切れにくくなります。
  • ネットワーク状況に応じて、ゲームの画質やフレームレートを適切に設定することで、より安定したプレイが可能です。
  • ゲームプレイ中は、他の大容量通信(動画視聴やダウンロードなど)を制限し、ゲームに帯域を集中させましょう。

クラウドゲーミングが向いているユーザーは?

  • 高価なゲーミングPCやゲーム機を買う初期投資を抑えたい方。
  • 最新ゲームを気軽に、手軽に試してみたい方。
  • スマートフォン、タブレット、PCなど、複数のデバイスで場所を選ばずにゲームを楽しみたい方。
  • PCやゲーム機のメンテナンスやアップグレードの手間を重視せず、手軽にゲームを楽しみたい方。

クラウドゲーミングは、光回線環境さえ整っていれば、高額なゲーミングPCを持っていなくても最新ゲームを存分に楽しめる、まさに画期的なサービスです。もちろん、競技性の高いゲームにはまだ課題がありますが、技術は日々進化しており、その快適さは着実に向上しています。

まずは、今回ご紹介した中で無料プランが用意されている「GeForce NOW」などで、ご自身のインターネット環境やプレイスタイルに合うかどうか、実際に体験してみることを強くおすすめします。きっと、これまでのゲーム体験とは一味違う、新しい世界があなたを待っていますよ!