「光回線を契約する時、光電話もセットって言われたけど、固定電話なんて使わないよ…」「スマホがあるのに、なんで光電話が必要なの?」
このような疑問を感じたことはありませんか?
確かに最近は、固定電話を全く使わない家庭が増えています。私の友人の中には、「家に固定電話があることすら忘れてた」という人もいるくらいです。にもかかわらず、光回線の契約では、なぜか光電話とセットになっているプランが多いことに首を傾げる方もいるでしょう。
この記事では、光電話が不要な家庭でも賢く光回線を選ぶ方法を、インターネット回線の専門家としてご紹介します。無駄なオプションにお金を払うことなく、あなたに本当に必要なプランを見つけるお手伝いができれば幸いです。
光電話とは?まずは基本を理解しよう
「そもそも光電話って何?」という、まずは基本の「き」から整理していきましょう。
光電話の仕組み
光電話とは、簡単に言えば「光回線を使って行う電話サービス」のことです。従来のアナログ電話がNTTの電話線(銅線)を使って通話していたのに対し、光電話はインターネットと同じ光ファイバーケーブルを使って通話します。
この仕組みのおかげで、光電話は従来の電話と比べて月額基本料金が格段に安くなります。アナログ電話が月額1,500円程度かかるのに対し、光電話はなんと約500円。従来の約3分の1のコストで利用できるのは、家計に優しいポイントですね。
光電話のメリット・デメリット
光電話の最大のメリットは、やはり月額料金が従来の電話の約3分の1と圧倒的に安いことでしょう。しかも、光回線の安定した通信を使うので、通話品質もクリアで快適です。多くのプロバイダで光回線とセットで申し込むと割引が適用され、今お使いの固定電話番号もそのまま引き継げる(番号ポータビリティ)ことがほとんどです。
一方で、光電話にはいくつかの注意点もあります。例えば、停電時には使えなくなってしまうこと。これは、光電話が電気を必要とする機器で動いているためです。また、110番や119番といった緊急通報、または177番の天気予報など、一部の特番への発信には制限がある場合があります。そして、光回線と運命共同体なので、もしインターネット回線に障害が発生すると、光電話も使えなくなってしまう点は覚えておきましょう。
現代の固定電話利用実態
実際のところ、現代の日本で固定電話はどのくらい使われているのでしょうか?
利用率の推移
総務省の調査によると、固定電話の利用率は年々減少傾向にあります。2010年には約80%の家庭が固定電話を利用していましたが、2023年には約50%まで減少しているのが現状です。特に若い世代では、固定電話を持たない、あるいは使わないという方が圧倒的に多く、このトレンドは今後も加速していくと見られています。
世代別利用パターン
年代別に見てみると、その傾向はさらに顕著です。20代から30代では固定電話の利用率はわずか20%程度。主に賃貸契約時の緊急連絡先として一時的に利用する程度でしょう。
40代から50代になると利用率は約60%に上がります。お子さんの学校や病院からの連絡、宅配便の不在連絡などで重宝している方もいるようです。そして、60代以上では約80%の方が利用しており、日常的な通話や緊急時の連絡手段として、まだまだ現役で活躍しています。
固定電話が必要な場面
しかし、そんな現代でも固定電話が必要とされる場面は確かに存在します。例えば、お子さんがいる家庭では、学校や幼稚園の緊急連絡先として固定電話番号を求められることがありますね。また、一部の金融機関では、新規口座開設や大口取引の際に本人確認として固定電話番号が必要になるケースも。宅配便の不在連絡や、ご高齢の親御さんの安否確認、さらにはホームセキュリティシステムとの連携にも固定電話が利用されることがあります。
光電話不要家庭の特徴
では、どんな家庭なら光電話なしでも問題なく、快適なネットライフを送れるのでしょうか?
光電話が不要な家庭の条件
まず、家族全員がスマートフォンを持ち、LINEやSkypeなどの無料通話アプリを日常的に活用している家庭は、通話手段が非常に充実しています。緊急時の連絡もスマホで十分対応できているでしょう。
次に、固定電話番号に依存しないライフスタイルを送っている家庭も挙げられます。各種サービスの登録をスマホ番号で行い、仕事でも携帯電話がメイン、宅配便の受け取りもスマホ番号で完結しているようなケースですね。
そして、何よりもコストを重視する家庭。月額500円でも節約したい、使わないサービスにお金を払いたくない、シンプルな契約を好むという方には、光電話なしの選択肢が魅力的です。
光電話なしで困る可能性があるケース
もちろん、光電話がないことで、万が一の際に困るケースも考えられます。大規模な災害が起きて携帯電話回線が混雑したり、スマホの充電が切れてしまったり、故障したりといった緊急時には、固定電話が最後の命綱になることも。特に、携帯電話の電波が届きにくいエリアにお住まいの方にとっては、光電話が安定した通信手段となり得ます。
また、一部の金融機関や特定の契約においては、固定電話番号を持つことが社会的信用の一助となる場合も。賃貸契約や各種サービスの申し込みで、本人確認の際に固定電話番号を求められるケースもゼロではありません。
光電話なしプランの選び方
光電話が不要だと判断した場合、賢い光回線選びのポイントはどこにあるのでしょうか。
光電話なしプランがあるプロバイダ
主要な光回線サービスの中にも、実は光電話なしのプランを選べるプロバイダは存在します。例えば、ドコモユーザーにはお馴染みのドコモ光。ここでは「ドコモ光ネットのみプラン」があり、光電話をつけないことで月額料金が安くなる上に、工事費用も抑えられる場合があります。
ソフトバンク光も光回線のみのプランはありますが、「おうち割光セット」というスマホとのセット割引を利用したい場合は、残念ながら光電話の契約が必須となります。auひかりも同様にネットのみプランは選べますが、「auスマートバリュー」を適用させるなら光電話は避けられません。
もし、特定のスマホキャリアとのセット割引にこだわりがないのであれば、enひかりやexcite光のような独立系のプロバイダも選択肢に入ってきます。これらのプロバイダでは、光電話オプション自体がなかったり、非常にシンプルで安価な料金体系を提供していたりすることが多いのが特徴です。
セット割引との兼ね合い
光電話なしのプランを選ぶ際に、最も注意したいのが「携帯電話とのセット割引」です。多くの大手キャリアの光回線サービスでは、光電話の契約がセット割引適用の条件になっているケースが少なくありません。
例えば、ドコモ光でセット割引が適用される場合を考えてみましょう。
ドコモ光の料金計算例(マンションタイプの場合)
- 光電話ありの場合:
- 光回線料金:5,500円
- 光電話料金:550円
- セット割引(ドコモスマホ1台分):-1,100円
- 合計:4,950円
- 光電話なしの場合:
- 光回線料金:5,500円
- セット割引:なし
- 合計:5,500円
このケースだと、光電話なしの方が月額550円高くなってしまいますね。
このように、一見光電話をつけない方が安く見えても、実はセット割引を活用した方が結果的に光回線とスマホの通信費総額が安くなることがあるのです。しかし、セット割引の恩恵がない格安スマホユーザーの方にとっては、光電話なしプランが断然お得になる可能性が高いでしょう。ご自身の携帯電話の契約状況をよく確認することが大切です。
料金シミュレーション:光電話ありなし比較
さて、ここからは具体的な数字で、光電話の有無が月々の料金にどれくらい影響するのかを見ていきましょう。あなたのライフスタイルと照らし合わせて、どちらがお得になるか考えてみてください。
パターン1:ドコモユーザー4人家族
-
光電話ありプラン(ドコモ光 マンションタイプ)
- 光回線:5,720円
- 光電話:550円
- セット割引:-4,400円(ドコモスマホ4台分)
- 実質負担:1,870円
-
光電話なしプラン(ドコモ光 マンションタイプ)
- 光回線:5,720円
- セット割引:なし
- 実質負担:5,720円
→ このケースでは、家族割とセット割引の恩恵が大きいため、光電話をつけた方が月々3,850円もお得になります。
パターン2:格安スマホユーザー2人家族
-
光電話ありプラン(一般的なプロバイダ マンションタイプ)
- 光回線:5,200円
- 光電話:550円
- セット割引:なし
- 合計:5,750円
-
光電話なし独立系プロバイダ(マンションタイプ)
- 光回線:3,800円
- 光電話:なし
- 合計:3,800円
→ このケースでは、セット割引の恩恵がないため、光電話なしの独立系プロバイダを選ぶと月々1,950円もお得になります。
いかがでしたか?このように、ご自身の携帯電話の契約状況や家族構成によって、光電話の有無で月額料金が大きく変わることがお分かりいただけたかと思います。一見、光電話をつけない方が安そうに見えても、実はセット割引を活用した方がお得になるケースもあるのですね。
光電話の代替手段
固定電話がなくても大丈夫!現代には様々な代替手段があります。
050IP電話サービス
固定電話番号が欲しいけれど、光電話はちょっと…という方には、「050IP電話サービス」が有力な代替手段です。これは「050」から始まる電話番号をインターネット回線経由で利用するサービスで、月額料金は0円から500円程度と非常にリーズナブル。通話料金も固定電話にかけるより安価なことが多く、スマートフォンアプリを使って手軽に利用できるのが大きな特徴です。NTTコミュニケーションズの『050plus』やオプテージの『LaLa Call』、楽天コミュニケーションズの『SMARTalk』などが代表的ですね。
無料通話アプリの活用
日常的な連絡手段としては、やはり「LINE通話」や「Skype」などの無料通話アプリが欠かせません。これらのアプリを使えば、音声通話はもちろん、ビデオ通話も無料で楽しめます。ただし、固定電話への発信は有料になるサービスがほとんどなので、その点は注意が必要です。家族や友人との連絡がメインなら、これらのアプリで十分事足りるでしょう。
緊急時対策
災害時や緊急時の備えとして、固定電話がなくても安心できる方法はいくつかあります。例えば、NTTが提供している「災害用伝言ダイヤル(171)」は、携帯電話からでも利用可能です。これで安否確認ができることを覚えておきましょう。また、多くの自治体では緊急時のお知らせをメールやアプリで配信するサービス、あるいはSNSでの情報発信を行っています。これらを活用することで、いざという時の情報収集に役立ちます。
光電話なし契約時の注意点
光電話なしで契約する際には、いくつか知っておきたいポイントがあります。
工事・設定面の注意
光電話なしで契約する場合、まず工事内容をしっかり確認しましょう。光電話用の機器が設置されないため、配線がシンプルになることがあります。また、ONU(光回線終端装置)とルーターが一体型になるのか、それとも別々になるのかといった機器構成も事前に把握しておくと安心です。将来的にもし光電話を追加したくなった場合に、追加工事が必要になる可能性も考慮に入れておくと良いでしょう。
契約後の変更
一度光電話なしで契約した後に「やっぱり固定電話が欲しくなった」という場合、後から光電話を追加することはもちろん可能です。ただし、その際にはあらためて追加工事が必要になることがほとんどで、数千円から1万5千円程度の工事費用が発生する場合があります。また、電話番号の取得にも少し時間がかかることもありますね。
さらに、光電話はプロバイダに紐づくサービスなので、もし将来的に光回線のプロバイダを変更すると、現在の光電話番号は継続できません。新しい番号を取得し、関係各所へ番号変更の連絡をする手間が発生する点も、あらかじめ理解しておくことが大切です。
将来性を考えた判断
長期的な視点で、固定電話や光電話の未来はどうなっていくのでしょうか?
固定電話の将来性
固定電話の将来について考える上で外せないのが、NTTの動向です。2025年からは、NTTが従来の固定電話サービスをインターネット網(IP網)へ完全に移行させる計画を進めています。これは、従来の電話線を使ったサービスが縮小され、光電話のようなIP電話が主流になることを意味します。社会全体がデジタル化へ進み、スマートフォンが通信の中心となる現代において、固定電話からの移行は避けて通れない流れと言えるでしょう。
光電話の進化
そんな中、光電話自体も進化を続けています。スマートフォンとの連携機能が強化されたり、クラウドサービスやIoT機器と連携する新しいサービスが生まれたりするかもしれません。料金面でも、基本料金の見直しや通話料金の変動、そして携帯電話とのセット割引のさらなる拡充も考えられます。もしかしたら、将来的に光電話がもっと魅力的なサービスになる可能性も秘めているのです。
ライフスタイル別おすすめプラン
最後に、あなたのライフスタイルに合わせた光回線の選び方について、具体的なヒントをお伝えします。
若い単身者・カップル
日常的にスマホを使いこなし、固定電話を使う機会がほとんどない方々には、断然「光電話なしプラン」がおすすめです。格安SIMとの組み合わせで通信費全体を抑えられ、契約もシンプルで分かりやすいのが魅力です。必要最小限のサービスで、スマートなネットライフを送りましょう。
子育て世代(スマホメインユーザー)
お子さんの学校や習い事からの連絡など、いざという時に固定電話番号があった方が安心だと感じる方には、「光電話ありプラン」も選択肢に入ってきます。特に、お使いの携帯電話とのセット割引が適用されるなら、光電話をつけた方が結果的に通信費がお得になるケースも多いので、ぜひ検討してみてください。スマホがメインでも、いざという時の安心感は大きいでしょう。
シニア世代
長年使い慣れた固定電話の番号をそのまま使いたい、あるいは緊急時の連絡手段として固定電話を重視したいというシニア世代の方には、「光電話ありプラン」が安心です。使い慣れた電話機をそのまま利用でき、操作に迷うことも少ないでしょう。災害時などの備えとしても、固定電話があると心強いものです。
まとめ:あなたに最適な選択を
さて、この記事を通して、光電話の必要性についてずいぶん深く考えることができたのではないでしょうか?最後に、あなたにとって最適な選択をするためのポイントをもう一度整理してみましょう。
光電話が不要なのは、こんな方々です
- 日常で固定電話を全く使わない方
- 携帯電話とのセット割引の恩恵がない方
- 通信費を少しでも抑えたい、コスト重視の方
- シンプルで分かりやすい契約を好む方
一方、光電話が必要となる可能性が高いのは、こんな方々です
- 携帯電話とのセット割引で、光電話をつけた方が結果的に通信費がお得になる方
- 災害時や緊急時など、いざという時の安心感を重視する方
- 一部の契約やサービスで社会的信用を考慮したい方
- 長年使っている固定電話番号をそのまま継続したい方
最終的な判断のポイントは、以下の4つです。
- 現在の固定電話の利用状況を振り返ってみる
- お使いの携帯電話とのセット割引が適用されるか、その効果は大きいかをシミュレーションする
- 万が一の緊急時、連絡手段がしっかり確保されているかを考える
- 将来的にライフスタイルが変化し、固定電話が必要になる可能性を考慮する
光電話は、もはや「あったら便利」だけど「なくても困らない」サービスへと変わりつつあります。大切なのは、あなたのライフスタイルや価値観、そして予算に合わせて最適な選択をすることです。
無駄のないスマートな光回線契約で、快適でお得なネットライフを心ゆくまで楽しんでくださいね!