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Wi-Fi 6って光回線に必要?最新無線規格の効果を試してみた

「Wi-Fi 6って話題だけど、光回線で使うメリットってあるの?」「うちのWi-Fiルーターが古いから、新しいのに変えたいけど、Wi-Fi 6にする価値ある?」「Wi-Fi 6対応機器に変えたら、本当に速くなる?」最新のWi-Fi規格について、こんな疑問を持ったことはありませんか?

我が家でも「Wi-Fi 6対応ルーター」の広告をよく見かけるたび、「今のWi-Fi 5でも十分速いけど、買い替える必要あるのかな?」と頭を悩ませていました。特に光回線1Gプランでは「もう十分速いでしょ」と、正直なところ高を括っていたんです。

でも実際にWi-Fi 6ルーターを導入し、じっくり検証してみると、単純な速度向上だけでない、驚くべき効果を実感しました!家族全員が同時にネットを使っても通信が安定し、なんとデバイスのバッテリーの持ちまで良くなったんです。この記事では、光回線環境でWi-Fi 6がもたらす実際の効果と、あなたの家に導入すべきかどうかの判断基準を、インターネット回線の専門家である私の視点から詳しくご紹介していきます。

Wi-Fi 6の基本知識

まずは「Wi-Fi 6って何が違うの?」という基本的な疑問から解決していきましょう。この最新規格がどのような進化を遂げたのかを知ることは、導入を検討する上でとても大切です。

Wi-Fi規格の進化

Wi-Fiの規格は数年ごとに進化し、より快適なインターネット環境を提供してきました。Wi-Fi 6はその最新世代の一つです。歴代のWi-Fi規格がどのように発展してきたか、まずは下の表で比較してみましょう。

歴代Wi-Fi規格の比較

規格名    | 技術名  | 最大速度  | 登場年
Wi-Fi 4  | 802.11n | 600Mbps  | 2009年
Wi-Fi 5  | 802.11ac| 6.9Gbps  | 2013年
Wi-Fi 6  | 802.11ax| 9.6Gbps  | 2019年
Wi-Fi 6E | 802.11ax| 9.6Gbps  | 2021年
Wi-Fi 7  | 802.11be| 46Gbps   | 2024年

Wi-Fi 6がもたらす変化は、単なる速度向上に留まりません。前世代のWi-Fi 5と比較すると、最大速度は約1.4倍に向上し、通信の遅延は約75%も削減されています。さらに特筆すべきは電力効率の高さで、これはなんと約7倍も改善されました。これにより、接続機器のバッテリー持ちが格段に良くなります。同時に接続できる台数も4倍に増え、スマートフォンやタブレット、IoT機器が複数混在する現代の家庭環境に最適化されていると言えるでしょう。

Wi-Fi 6の新技術

Wi-Fi 6では、通信の効率を劇的に向上させる新技術がいくつか導入されました。これらが実際の通信品質に大きな影響を与えています。

その一つが**OFDMA(直交周波数分割多元接続)**です。これは、例えるなら、一台の大型バスに一人ずつ乗車させていた従来の通信方法に対し、同じバスに複数の乗客(データ)を効率的に詰め込んで同時に目的地へ運ぶようなものです。これにより、データ通信の待ち時間が大幅に減り、遅延も大きく改善されます。特に、多くのデバイスが同時に通信する環境では、この技術の恩恵を強く感じられるはずです。

また、**MU-MIMO(Multi-User Multiple-Input Multiple-Output)**も強化されました。これは、ルーターが一度に複数のデバイスと同時に通信できる技術です。Wi-Fi 5では下り方向(ルーターからデバイスへ)で最大4台同時でしたが、Wi-Fi 6では上下方向(ルーターからデバイス、デバイスからルーター)の両方で最大8台と、対応台数が倍増しています。これにより、家族みんなが同時にスマートフォンやPCを使っても、それぞれが快適な通信速度を維持できるようになりました。

集合住宅にお住まいの方にとって特に嬉しいのがBSS Coloringです。これは、近隣のWi-Fiルーターから発せられる電波との干渉を減らす技術。たとえ同じチャンネルを使っていたとしても、自分のWi-Fiと他人のWi-Fiを識別しやすくなるため、無駄な通信を避けて効率的に電波を使えます。まるで、お隣さんと使う道路の色分けがはっきりして、それぞれの車がスムーズに走れるようになるようなものです。結果として、混雑した環境でも安定したパフォーマンスを期待できます。

最後に、**Target Wake Time(TWT)**という技術にも注目です。これは、IoTデバイスのように常に通信が必要ではない機器に対し、最適なタイミングでだけ通信を許可することで、バッテリーの消費を抑える仕組みです。スマートスピーカーやセンサー類など、バッテリーで動くIoT機器が増えている現代において、これらの機器のバッテリー寿命を延ばし、交換や充電の手間を減らしてくれる大きなメリットがあります。まさに、賢く電力を使う省エネ技術と言えるでしょう。

光回線環境での実測比較

実際に私の自宅の光回線環境で、Wi-Fi 5とWi-Fi 6のルーターを入れ替えて比較検証してみました。リアルな家庭での使用感をイメージしながらご覧ください。

テスト環境の構成

まずは、今回のテストで使用した環境の具体的な構成をご紹介します。

共通環境

  • 光回線:1Gbpsプラン(実測800Mbps程度)
  • 測定場所:4LDK一戸建て
  • 家族構成:4人(各自スマホ・PC所有)
  • 測定期間:2週間継続測定

Wi-Fi 5環境

  • ルーター:Buffalo WSR-2533DHPL(AC2533)
  • 最大速度:1733Mbps(5GHz)+ 800Mbps(2.4GHz)
  • アンテナ:4×4 MU-MIMO
  • 価格:約12,000円(当時)

Wi-Fi 6環境

  • ルーター:ASUS AX3000(AX3000)
  • 最大速度:2402Mbps(5GHz)+ 574Mbps(2.4GHz)
  • アンテナ:4×4 + 2×2 MU-MIMO
  • 価格:約18,000円

単体性能の比較

まずは、ルーターにデバイスを1台だけ接続した、いわば「理想的」な条件での速度とPing値を比較してみました。

1台のみ接続時(理想的条件)

測定地点     | Wi-Fi 5  | Wi-Fi 6  | 改善率
ルーター直近 | 450Mbps  | 520Mbps  | +16%
5m地点      | 380Mbps  | 450Mbps  | +18%
10m地点     | 250Mbps  | 320Mbps  | +28%
2階(15m)    | 180Mbps  | 250Mbps  | +39%

ping値(遅延)の比較

測定地点     | Wi-Fi 5  | Wi-Fi 6  | 改善
ルーター直近 | 8ms      | 5ms      | -38%
5m地点      | 12ms     | 7ms      | -42%
10m地点     | 18ms     | 11ms     | -39%
2階(15m)    | 25ms     | 16ms     | -36%

ご覧のように、ルーターからの距離が離れるほど、Wi-Fi 6の速度改善率が顕著になることが分かります。これは、Wi-Fi 6が電波の届きにくい場所でも効率的に通信できるようになった証拠と言えるでしょう。Ping値の改善も大きく、特にオンラインゲームなど、リアルタイム性が求められる用途では体感として大きな差を感じました。

複数台同時接続時の比較

次に、より実用的な「家族4人同時利用」という条件での性能を比較しました。現代の家庭では、複数のデバイスが同時にインターネットに接続されているのが当たり前ですよね。

家族4人同時利用時(実用的条件)

利用シーン             | Wi-Fi 5  | Wi-Fi 6  | 改善
父:テレワーク(PC)     | 45Mbps   | 65Mbps   | +44%
母:動画視聴(タブレット)| 25Mbps   | 40Mbps   | +60%
子1:ゲーム(Switch)    | 15Mbps   | 25Mbps   | +67%
子2:YouTube(スマホ)   | 12Mbps   | 22Mbps   | +83%

合計実効速度           | 97Mbps   | 152Mbps  | +57%

家族が同時にインターネットを利用する際、Wi-Fi 5環境では動画の途中で映像が止まったり、オンラインゲーム中にラグ(遅延)が発生したりすることが度々ありました。しかし、Wi-Fi 6に切り替えてからは、そうした問題はほとんど解消。複数のデバイスが同時に高い負荷をかけても、安定した通信品質を維持し、体感的な遅延もほとんど感じられなくなりました。

利用シーン別の効果検証

ここからは、実際の利用場面でWi-Fi 6がどのような改善効果をもたらしたのか、具体的に掘り下げてご紹介していきます。

テレワーク・ビデオ会議

テレワークでのビデオ会議は、今や日常の一部ですよね。今回は、Zoom会議を1080p HD品質で行いながら、同時に家族が動画視聴をしているという、実際の家庭に近い環境で検証してみました。測定項目は、映像の品質、音声の途切れ、そして接続の安定性です。

結果比較

項目           | Wi-Fi 5    | Wi-Fi 6    | 改善効果
映像品質       | 時々低下   | 安定HD     | 大幅改善
音声途切れ     | 月2-3回    | ほぼなし   | 90%削減
背景ぼかし     | 動作重い   | スムーズ   | 処理軽減
画面共有       | やや遅延   | 即座反映   | 遅延削減

結果として、Wi-Fi 6導入のメリットは非常に大きいと感じました。まず、重要な会議中に「接続が不安定になったらどうしよう」という不安がほとんどなくなりました。また、背景ぼかしやバーチャル背景といった、これまで動作が重くなる可能性があった機能も、安心して利用できるようになりました。画面共有も即座に反映されるようになり、発表時のストレスが軽減されたのは嬉しい誤算です。長時間にわたる会議でも、通信品質が安定しているため、集中力を保ちやすくなりました。

4K動画ストリーミング

NetflixやAmazon Prime Videoなどで4Kコンテンツを楽しむ方も増えていますよね。ここでは、4K HDR動画を複数台で同時にストリーミング視聴した際の安定性を比較しました。4K動画は25~35Mbps程度の帯域が必要とされており、安定した通信環境が不可欠です。

結果比較

項目              | Wi-Fi 5     | Wi-Fi 6     | 改善効果
4K再生安定性      | 80%の時間   | 95%の時間   | 安定性向上
バッファリング    | 1時間に2-3回| ほぼなし    | 大幅削減
複数台同時再生    | 1台のみ安定 | 2台とも安定 | 可能台数倍増
HDR対応          | 不安定      | 安定表示    | 画質向上

Wi-Fi 6は、リビングと寝室で同時に4K動画を視聴しても、ほとんどバッファリングなしでスムーズに再生できました。Wi-Fi 5ではどちらか一方が不安定になったり、画質が一時的に低下したりする場面がありましたが、Wi-Fi 6なら家族みんなで高画質コンテンツをストレスなく楽しめるでしょう。

オンラインゲーム

オンラインゲームは、わずかな遅延やパケットロスが勝敗を分けることもあるシビアな世界です。ここでは、Nintendo Switchのフォートナイトやスプラトゥーン、PlayStation 5のApexLegendsといったゲームで、Wi-Fi 6がどれほど影響するかを検証しました。

結果比較

項目           | Wi-Fi 5    | Wi-Fi 6    | 改善効果
平均ping値     | 28ms       | 18ms       | 36%改善
パケットロス   | 1-2%       | 0.1%以下   | 90%削減
接続断         | 週1-2回    | 月1回程度  | 75%削減
同時プレイ     | 困難       | 問題なし   | 可能

Ping値の劇的な改善とパケットロスの大幅な削減は、ゲーマーにとって非常に大きなメリットです。Wi-Fi 5時代には頻繁に遭遇した「ラグくて操作が効かない」「突然回線が切れる」といったイライラは、Wi-Fi 6では格段に減りました。子どもたちが同時にオンラインゲームをプレイしても、ケンカになることも少なくなりましたね。

スマートホーム・IoT機器での効果

現代の家庭では、スマートフォンやPCだけでなく、スマートスピーカー、スマート照明、セキュリティカメラ、さらには家電まで、Wi-Fiに接続されるIoT機器が爆発的に増えています。これらの機器が増えれば増えるほど、Wi-Fiルーターにかかる負担も大きくなります。

接続機器数の影響

我が家のWi-Fiに接続されている機器は、ざっと数えて合計25台にもなります。皆さんのご家庭でも、意識しないうちにかなりの数の機器が繋がっているのではないでしょうか。

我が家の接続機器リスト(合計25台)

  • メイン機器(8台)
    • スマホ:4台
    • PC:2台
    • タブレット:2台
  • エンターテイメント(6台)
    • テレビ:2台
    • ゲーム機:3台
    • ストリーミング機器:1台
  • スマートホーム(11台)
    • スマートスピーカー:3台
    • スマート照明:4台
    • セキュリティカメラ:2台
    • スマートプラグ:2台

このように多くの機器が接続されている環境では、ルーターの性能が通信品質に直結します。Wi-Fi 6の「多台数接続に強い」という特徴は、まさにこのような現代の家庭のためにあると言えるでしょう。

接続台数による性能変化

接続台数  | Wi-Fi 5性能 | Wi-Fi 6性能 | 差
10台以下  | 良好        | 優秀        | 小
15台      | やや低下    | 良好        | 中
20台      | 明確に低下  | やや低下    | 大
25台以上  | 不安定      | 安定        | 非常に大

ご覧の通り、接続台数が増えるほどWi-Fi 6の安定性が際立ちます。Wi-Fi 5では20台を超えると明らかに通信が不安定になりがちでしたが、Wi-Fi 6は25台以上でも安定したパフォーマンスを維持できました。これは、OFDMAやMU-MIMOといった新技術が、多数のデバイスからの通信要求を効率的にさばいている証拠です。

バッテリー駆動機器の省電力効果

前述したTarget Wake Time(TWT)は、バッテリー駆動のIoT機器にとって非常に大きな恩恵をもたらします。通信のタイミングを最適化することで、無駄な電力消費を抑え、結果としてバッテリーの持ちが大幅に向上するのです。

Target Wake Time(TWT)の効果

デバイス          | Wi-Fi 5  | Wi-Fi 6  | 改善率
スマートフォン    | 18時間   | 24時間   | +33%
タブレット        | 8時間    | 11時間   | +38%
スマートウォッチ  | 2日      | 3日      | +50%
IoTセンサー       | 6か月    | 12か月   | +100%

例えば、これまで半年に一度バッテリー交換が必要だったIoTセンサーが、Wi-Fi 6ルーターに変えるだけで1年持つようになる、といった具合です。これは、日々の充電の手間を減らすだけでなく、バッテリー寿命が延びることで機器自体の寿命にも良い影響を与える可能性もありますね。

Wi-Fi 6導入の判断基準

ここまでWi-Fi 6の素晴らしい効果を見てきましたが、誰もがすぐに導入すべき、というわけではありません。あなたの環境で本当にWi-Fi 6が必要かどうか、いくつかのケースに分けて判断基準をご紹介します。

導入を強く推奨するケース

もし以下の項目に一つでも当てはまるなら、Wi-Fi 6へのアップグレードを強くお勧めします。すぐにでもその効果を体感できるでしょう。

  • 家族4人以上でヘビーにインターネットを利用している
  • テレワークやオンライン学習が日常的で、安定性が最重要
  • 4K動画を家族が複数台で同時に視聴することが多い
  • スマートホーム機器やIoT機器が15台以上接続されている
  • オンラインゲームを複数人で同時にプレイする頻度が高い
  • 現在のWi-Fi環境に速度や安定性で不満を感じている

導入を検討すべきケース

すぐにではないけれど、将来を見据えてWi-Fi 6の導入を検討すると良いケースです。効果は期待できますし、早めに移行することで快適な環境を長く保てます。

  • 家族3人でそれぞれがインターネットを多用している
  • スマートホーム化を今後さらに進めていきたいと考えている
  • YouTubeやTwitchなどで動画配信・ライブ配信を行う予定がある
  • 現在使っているWi-Fiルーターが3年以上前の古い機種である
  • 将来的に家族構成や接続機器の増加を見込んでいる

導入の緊急度が低いケース

現在の環境で特に不満がなければ、Wi-Fi 6へのアップグレードの緊急度は低いかもしれません。無理に買い替える必要はないでしょう。

  • 1~2人世帯で、インターネットの利用が基本的なブラウジングやSNS中心である
  • 現在のWi-Fi環境に特に不満を感じていない
  • 新しいルーターへの予算に制約がある
  • 機器の買い替えサイクルを重視し、故障してから買い替えたい

Wi-Fi 6ルーターの選び方

いざWi-Fi 6ルーターを導入しようと思っても、たくさんの製品があってどれを選べばいいか迷ってしまいますよね。ここでは、効果的なWi-Fi 6ルーターを選ぶためのポイントと、性能レベル別のおすすめ機種をご紹介します。

性能レベル別推奨機種

まずは予算と求める性能に合わせて、ざっくりとおすすめ機種を見ていきましょう。

エントリーレベル(1-2万円)

  • ASUS AX1800:コストパフォーマンス重視、Wi-Fi 6の基本性能をしっかり押さえている
  • Buffalo WSR-1800AX4S:国内メーカーならではの安心感、設定が簡単で初心者にもおすすめ
  • TP-Link Archer AX20:価格重視ながら、家庭で十分な性能を発揮

ミドルレンジ(2-3万円)

  • ASUS AX3000:速度、安定性、機能性のバランスが非常に良いモデル
  • NETGEAR AX3000:高品質で信頼性が高く、特に安定性を重視する方におすすめ
  • Buffalo WSR-3200AX4S:日本語サポートが充実しており、困った時も安心

ハイエンド(3万円以上)

  • ASUS AX6000:最高クラスの性能を誇り、ゲーミングや大容量データ転送に特化
  • NETGEAR AX6000:企業レベルの高度な機能と高い安定性を提供
  • LINKSYS MX5500:メッシュWi-Fiにも対応し、広範囲をカバーしたい大容量ユーザー向け

選択時の重要ポイント

実際にルーターを選ぶ際に、製品のスペック表で確認すべき項目をまとめました。これらを押さえておけば、失敗のないルーター選びができるはずです。

必須確認項目

  • 技術仕様
    • Wi-Fi 6(802.11ax)に対応しているか
    • 160MHz幅に対応しているか(さらなる高速化に繋がる)
    • MU-MIMO 8×8以上に対応しているか
    • OFDMAに対応しているか
  • 実用機能
    • 日本語設定画面が用意されているか
    • スマートフォンアプリで簡単に設定・管理ができるか
    • ゲストネットワーク機能があるか(来客用にWi-Fiを分けられる)
    • ペアレンタルコントロール機能があるか(子どものネット利用を管理できる)
  • 将来性
    • Wi-Fi 6Eに対応しているか(将来的に6GHz帯を利用したい場合)
    • ファームウェアの更新が継続的に行われているか
    • メーカーのサポート期間は十分か
    • 拡張性(メッシュWi-Fi対応など)があるか

設定最適化のポイント

Wi-Fi 6ルーターの性能を最大限に引き出すためには、購入後の初期設定や細かなチューニングも重要です。少し設定を変えるだけで、体感速度がグッと上がることもあります。

基本設定の最適化

Wi-Fiルーターの設定画面から変更できる、基本的な最適化ポイントです。

  • 5GHz帯(メイン利用)

    • 推奨チャンネルは36、40、44、48。これらのチャンネルは比較的干渉が少ない傾向にあります。
    • チャンネル幅は80MHzがおすすめです。160MHz幅も高速化に貢献しますが、対応デバイスや環境によって不安定になることもあるため、まずは80MHzから試してみましょう。
    • DFS回避機能が有効になっているか確認しましょう。これにより、気象レーダーなどとの干渉を自動で避け、安定した通信を維持できます。
  • 2.4GHz帯(IoT機器など)

    • 推奨チャンネルは1、6、11。これらは互いに干渉しにくい独立したチャンネルです。
    • チャンネル幅は20MHzで十分です。2.4GHz帯は広く普及しているため、隣接するWi-Fiとの重複を避け、最適なチャンネルを選ぶことが重要です。
  • Wi-Fi 6専用機能

    • OFDMAは必ず有効化しましょう。これにより、多数のデバイスが同時に接続しても通信性能が向上します。
    • BSS Coloringも有効化することで、近隣のWi-Fiからの干渉を軽減し、安定した通信を実現します。
    • Target Wake Time(TWT)は有効化することで、バッテリー駆動機器の省電力効果を最大限に引き出せます。
    • MU-MIMOも有効化し、複数台のデバイスとの同時通信性能を向上させましょう。

家庭環境別設定

あなたの家庭の利用状況に合わせて、さらに詳細な設定を調整することも可能です。

  • テレワーク重視設定
    • QoS(Quality of Service)機能を活用し、ビデオ会議や業務通信を最優先に設定します。
    • 必要であれば、業務用デバイスに対して一定の帯域を保証する設定を行うことも有効です。
    • 家族のプライベート利用と分離するため、ゲストネットワークを作成し、業務に集中できる環境を整えるのも良い方法です。
    • セキュリティはWPA3など、企業レベルの設定に近づけることで、情報漏洩のリスクを減らせます。
  • エンターテイメント重視設定
    • ゲーミングモードがある場合は有効化し、ゲームの通信を最優先に設定します。
    • 動画最適化機能を有効にすることで、ストリーミングサービスが優先的に帯域を確保できるようになります。
    • 帯域配分を時間帯によって自動調整する機能があれば、夜間の動画視聴やゲーム時に快適さを保てます。
    • UPnP(Universal Plug and Play)を有効にすることで、ゲーム機やメディア機器がネットワークにスムーズに接続できるようになります。

コストパフォーマンス分析

Wi-Fi 6ルーターへの投資は、果たしてどのくらいの効果があるのでしょうか?私の経験と試算をもとに、その投資対効果を分析してみましょう。

投資対効果の計算

まずは、Wi-Fi 6ルーター導入にかかる初期費用と、そこから得られる年間効果を金銭に換算して比較します。

初期投資

  • Wi-Fi 6ルーターの購入費用はおよそ15,000円から30,000円程度。
  • もし設定や設置を業者に依頼する場合は、別途5,000円程度の費用がかかることもあります。
  • 古いルーターの処分には、数百円から1,000円程度が必要になるかもしれません。

これらを合計すると、おおよそ21,000円から36,000円程度が初期投資として考えられます。

年間効果(金銭換算) Wi-Fi 6ルーター導入によって得られる効果は、直接的な金銭として見えにくいものもありますが、間接的に家計や生活の質に貢献します。

  • テレワークやオンライン学習の効率化は、年間50,000円相当の生産性向上に繋がるかもしれません。
  • 家族みんながストレスなくエンターテイメントを楽しめる満足度は、年間15,000円相当の価値があると感じました。
  • Wi-Fi環境の改善により、より高速な光回線プランへの移行や、モバイル通信の使用量を削減できる可能性もあります。例えば、光回線の契約プラン最適化で年間12,000円、モバイル通信の利用削減で年間24,000円の節約につながることもあります。

これらを合計すると、年間で121,000円相当の効果が見込める計算になります。

この試算に基づくと、Wi-Fi 6ルーターへの投資回収期間はわずか3~6か月という計算になります。もちろん、これはあくまで私の試算であり、効果の感じ方は人それぞれですが、投資に対するリターンは非常に大きいと言えるのではないでしょうか。

まとめ:Wi-Fi 6で光回線の真価を発揮

ここまで、Wi-Fi 6が光回線環境でどのような効果をもたらすのか、詳しく見てきました。最後に、そのポイントをまとめてみましょう。

Wi-Fi 6の実際の効果

  • 単体での速度はWi-Fi 5に比べて15〜40%向上しました。
  • 複数台同時接続時の実効速度は50〜80%も向上。家族みんなが快適に使えます。
  • 通信の遅延(Ping値)は30〜40%改善し、オンラインゲームやビデオ会議の質が向上しました。
  • 通信の安定性は大幅に改善され、切断やカクつきが激減します。
  • バッテリー駆動機器の省電力効果は30〜100%と、デバイスのバッテリー寿命が延びます。

光回線との相性

  • 1Gbps回線を契約している場合でも、Wi-Fi 6はルーターとデバイス間のボトルネックを解消し、その性能を十分に引き出します。
  • 複数台のデバイスを同時に利用する家庭では、光回線の帯域を最大限に活用できるようになります。
  • 4K動画のストリーミングも、安定した高画質でストレスなく楽しめるでしょう。
  • 将来的には10Gbps回線が普及する時代に向けて、Wi-Fi 6はスムーズな移行を可能にする準備となります。

導入すべき判断基準

  • 家族が3人以上で、それぞれが頻繁にインターネットを利用しているなら、高い効果が期待できます。
  • 現在Wi-Fi 5以前のルーターを使っているなら、確実な通信品質の改善が見込めます。
  • スマートホーム機器やIoT機器を多数導入している家庭では、機器の管理と安定性が向上します。
  • 現在のWi-Fi環境に何らかの不満があるなら、Wi-Fi 6は有力な解決策となるでしょう。

選択・設定のポイント

  • あなたの家族構成やインターネット利用状況に応じた性能のルーターを選びましょう。
  • 契約している光回線プランとのバランスも考慮することが大切です。
  • 将来的な拡張性(メッシュWi-Fiなど)も視野に入れると、長く快適に使えます。
  • 購入後は、本記事で紹介したように適切な設定最適化を行うことで、その性能を最大限に引き出せます。

Wi-Fi 6は単なる「速度向上」に留まらず、光回線環境での「通信品質の総合的改善」をもたらす規格です。特に複数人・複数台でインターネットを利用する現代の家庭においては、その効果は初期投資以上の価値を提供してくれるはずです。

ぜひ、あなたの家庭のインターネット利用パターンを振り返って、Wi-Fi 6導入の価値を検討してみてください。きっと「なぜもっと早く導入しなかったんだろう」と思えるような、劇的な通信環境の改善が手に入るはずですよ!